第23話
五人揃ったソファ席を眺めながらインタビューは、今まで特に大きなトラブルもなく淡々と進んでいる。
「メンバーの皆さんにお聞きします。“好きな女性のタイプ”は?」
ベタだが、この手の話題が一番女の子が好きなのだ。
変に捻った質問より彼女たちが興味を持っている話題を持ってくるのが一番いい。
「優しい子」とか
「元気な子」とか
さっきから無難な答えが返ってきて、受け答えまで優等生なメンバーの中
「『社内イチ冷たい女』とか『三年は彼氏が居ないだろう』って噂されるような女性」
長い足を組んだ禅夜が私の方を意味深に見つめながらにやりと笑って、
私はボイスレコーダーを向ける手を止めたくなった。
こいつ……
からかってやがる。
飛ばされるのがイヤとか言っておきながら、絶対私をからかって楽しんでるに違いない。
ぎりぎり…
ボイスレコーダーを握る手に力が入り
「何だよゼン、それ」とメンバーの中で笑い声があがった。
禅夜は私の隣で控えていたアシスタントくんに視線を移すと、片目を僅かに細めて冷たく見据える。
アシスタントくんはビクリと肩を震わせて、俯いた。
なるほど、あんたも一票を投票したってわけね。
まぁ分かるけどさー…
短大卒の私は二十で入社して、アシスタントくんは今春入社のフレッシュマン。
キャリアが違うとは言え、同い年の女にこき使われるのが気に入らなかったに違いない。
「でもさー、そうゆう女性ってそれだけのことを言われる努力をしてるんだよね。
がむしゃらにつっぱっしって、ただまっすぐに突き進んでるからそういう印象受けちゃうだけで
俺はその頑張ってる姿勢が好きだな」
またまた冗談を……
と思ったけれど、禅夜が向けてくるその視線はさっきボタンを外していたときと同じ真剣な目で―――
私は顔が熱くなるのをごまかすのに必死。
レコーダーを握る手が僅かに震えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます