第21話


「インタビューとかマジでヤだな。



俺、歌以外の仕事とか興味ないし、苦痛でしかないんだよね。



でもさー、選り好みしてる立場じゃないって言うかねー…



何かジレンマ?みたいな?




そうゆうのすっげぇストレスで、そんなこと考えながら、気晴らしに買い物して見つけたのがそれ」




ストールの端をちょっと引っ張って岩本 禅夜は苦笑い。ちょっとこれ……何気に有名ブランドのロゴが入ってるじゃない。もしかしてすっごいお高いストールじゃ……



何て考えていると



岩本 禅夜はついでにブラウスの合わせ目に指を入れてさりげなく中を覗いてくる。



「お♪薄いブル~☆俺、好きよ?」



「何勝手に見てんのよ!」



怒って禅夜の手を払うと、




「インタビュー受けるよ。



環が飛ばされるのはイヤだし」



彼は背筋を正すと、私の足にそっと脱げたパンプスを履かせた。



まるでシンデレラが王子さまに拾ってもらった靴のように。



何の変哲もない黒いパンプスが急にガラスの靴のようにキラキラ輝いているように見えた。



何のマジック??



アイドルさま効果か?






「俺は、がんばってるあんたが好き。



がむしゃらで向こう見ずで、プロ意識が強くて―――




俺にはない強さを持ってる環が」





“好き”と言うところにドキリと反応してしまう。



聞き慣れない言葉だからだろうか。



でも相手はアイドルさまだし、ファンサービスも心得ているんだろう。



そう考えなきゃ、何だか




戻れないところまで堕ちてしまいそうになる。



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