第19話


「さっき『顔はやめて』って言ったわよね!



もう答えは決まってるじゃないの。



自分の顔が商品価値であること知ってるってことはそれなりにプロ意識は持ち合わせてるんでしょ。



あんたは何だかんだでこの仕事に情熱持ってんのよ!



お金貰ってステージに立たせてもらってるんだからね、何があったのか知らないけど





その分しっかり働きなさい」



ビシっと彼の眉間に指を刺して言い切ると、彼は大きな黒目を寄せて寄り目。



何…



ちょっと可愛いし。



思わず笑うと



「ぷっ」



岩本 禅夜も笑い出した。



「な、何よ……」



「ううん、あんた可愛いな。って思って」



カメラさん、今絶好のシャッターチャンスですよ!



撮影のカメラマンが居たらそう言っていたに違いない、その笑顔は極上のものだった。



……って…



冷静(?)に思ってる場合じゃないわよ。



「からかってるんじゃないわよ。



私なんて可愛くないわよ。大体あんた、毎日のように女優やモデルみたいな子と顔を合わせてるくせに」



ふん、そんな冗談間に受けるほど私はウブじゃないわよ。って意味で腕を組んで鼻息を吐くと






「最初見たときは『お、美人だ★ラッキ~♪』ぐらいに思ったけど



環は可愛いよ」






またも極上の笑顔を向けられて、意味もなくドキリと胸が鳴った。







可愛いなんて言われたのなんてはじめてだし。



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