第16話


「お遊びはこれまでよ!



インタビューに出てくれたら今の件黙っててあげるわ。



てか出てくれないと困るのよ!」



急に態度を変えた私に今度は岩本 禅夜が引き腰。顔に苦笑いを浮かべている。



「働く女??キャリアウーマンての?一生懸命でいいね」



「違うわよ!そんなんじゃないわ!



このインタビューが失敗したら私は飛ばされるのよ!」



「なるほどね。てか必死だね」



必死―――……



ブチッ!



「悪かったわね、必死で!



どうせ私は仕事が恋人よ!!ちょっと仕事が忙しくて元彼を放置してたら、



『お前に俺は必要ないだろ』とか言う理由でフラれちゃうし。



生憎、恋人にするほどの愛情なんて持ち合わせてないですけどね、女一人が生きていくのは大変なのよ!



必死で悪いわね。



あんたに結婚する意志が無かったから将来に不安を持ったのよ!悪い??



誰かが支えてくれなきゃ自分で自分を支えるしかないじゃない」



最後の方は元彼に対する恨み言だった。別れる際に言えなかった一言。



何でこんなこと言ったんだろう、私。



はじめて会った、それも私の悩みなんて一生理解してくれなさそうなアイドルさまを相手に。



でも



何故だかこいつの前だと色んな事、吐き出しちゃう。ずっと言えなかったことを―――こんなにもあっさりといとも簡単に……



岩本 禅夜は私の言葉に否定したりツッこんだりせず、ただ黙って話を聞いてくれていた。



これじゃ…どっちが客か分かんないじゃない。



「……ごめん」



思わず謝ると、岩本 禅夜はうっすら笑ってまたも私の頭をぽんぽん。





「がんばってるね」





認められたかったわけじゃない。私は私のためにがんばるしか道がないの。



だけど改めてそう言われると―――張り詰めていた何かが緩む。



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