第13話
意味深に細められた目が三日月型をして、口元に淡い笑み。
逃げ出す方法―――って…?
益々意味が分かんない。
怪訝そうにしていると
「安藤さーん!」
階上で誰かが私を呼んだ。
「ヤベ。見つかった?」
岩本 禅夜は眉をひそめて片目を細めると、
ぐいっ!
何を思ったのか私の体を抱えた。
はぁ!!?
いわゆるお姫さま抱っこと言う形で私は彼に軽々抱えられ、
「ちょっ!」
何かを言う前に、彼は近くにある資料部屋へと身を隠した。
お姫さま抱っこなんてはじめてされた。
細そうに見えるのに、その腕は鍛えられた筋肉がきれいについている。
良くあるじゃない??イケメン盗賊に狙われたお姫さまとか、そんでその盗賊に恋をしちゃうのが定番のパターンだけど
生憎私はそんな可愛い性格ではない。
「ちょっと!何なの、あんた!!」
今まで我慢して丁寧な口調と態度を保ってきたけれど、もう我慢の限界。
私は彼の腕の中で喚いて
「何って、逃げ出す方法を教えてくれないなら、
俺を逃がしてくれないかな、って思って」
またも分けのわからないことを言われて、私は彼に抱きかかえられたままその整った顔が私の顔にそっと近づいてきた。
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