第8話


耳に心地よいテノールのレジスターは、七年前より音域を広げ、さらに歌唱力の成長を感じた。



元々歌は上手かったのだ。



一曲目も中ほどまでいくと、メンバーは洗練された歌と五人揃っての乱れのないダンスでファンたちを魅了し前に進み出る。



女の子たちの悲鳴が一段と大きくなっていき、



ステージの端まで来た禅夜はファンサービスの為か、席を一望。



眺める視線が私のところで一瞬ぴくりと止まり、



大きな目をさらに広げてまばたきも忘れたかのようにただじっと一点を見つめる。



それは予想もしなかったことに驚いたときの彼の癖だ。



次の瞬間は片目だけを僅かに細め、キリリとした眉の端がぴくりと小さく動く。



それも変わっていない。



思いきり目があったのに、禅夜は私から視線を逸らして歌とダンスに集中する。



七年前は―――



こんな大きな都市の大きなホールでライブツアーをするようなグループではなかった。



私が彼ら…『Plase』にはじめて会ったのは、彼らがまだ駆け出しのとき。



私は当時、女性雑誌の部署で芸能コーナーを受け持っていた。



有名女性ファッション雑誌の2Pを飾るコーナーで、新人アイドルやモデル、俳優などを紹介するコーナーは割と読者年齢が若い女の子たちにウケが良かった。



その時の取材で会ったのだ。



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