第4話

「仁科、今終わりか?これから飯でも食わねー?」



この状況を知らずに能天気に笑ってるその整った横っ面に今すぐ張り手を食らわせたい。



「あ、あんたいつ東京に戻ってきたわけ?」私は女の子の群れから一人離れると、九条の車に近づいた。



「あー、悪い。三日ぐらい前かな?この前言ってた日本料理屋行こうぜ」



「あんたっていつも何で急なのよ」



私が声を潜めて九条を睨んでいるときだった。



「えー、仁科さんの彼氏さんですかぁ?かっこいい!」



女の子たちの視線が九条に移った。予想していなかった最悪の事態。



上半身しか見えなかったが、今日の九条は黒いジャケットの中に白いカットソーを着ていて、真冬だって言うのに襟ぐりに濃いサングラスをかけている。いつものように髪をラフにセットしてあって、左耳には輪っかのようなピアスが三つ光っていた。



そう



どこからどーみてもこいつは




ホスト。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る