第2話


「あんたねー、私が普段どれだけ体型に気遣ってるか分かってやってるの」と、ブツブツいいながらも最終日のほとんど叩き売り状態の......まるで戦場で戦い抜いた兵士のように疲れきっていたから、ろくに食事も摂らず実は腹ペコだしちょっとありがたかったり。



「ドレスに匂いを移さないようにしてよ」と言いながらすでに牛丼のパックに箸を突っ込んでいると



「こっちはあと少しだったんだけどなー、なぁ中川、売れ残った靴買い取ってくれね?社割り利くぞ?」と、



簡単に言ってくれるけどね、



「あんたんとこの靴バカ高いじゃん。社割り利いても無理だよ。それにそんなキラキラ白い靴なんてどこに履いてくってのよ」



と断ると、伊原は軽く肩をすくめた。



「お前んとこのウェディングドレス着て、履けばいいんじゃね?」



「あ・の・ね~!簡単に言うけど相手がいないのよ!



この牛丼のように簡単には調達できないじゃない!」



と、尚も喚くと



「んじゃ相手を作ればいいじゃん?」とこともなげに言ってくれる。



まるで「牛丼一丁、汁だくね!!」ぐらいの勢いだな。生憎だけど結婚相手は牛丼のように簡単に手に入らない。



私はもうすでにアラサー。大学卒業をしてすぐに百貨店勤めで今まで仕事一筋できて恋愛の仕方すら忘れてるってのに。その女にいきなり結婚を勧める??



伊原め、相当なバカか私をからかってるのか。



まぁバカではないことは確かだ。以前は百貨店のフロアマネージャーを務めてたぐらいだから。



じゃぁ私をからかってる?



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