第11話

❄️礼奈❄️



最近、生徒会の人達と一緒に居ることが増えた。

というよりも、彼らが勝手に付き纏って来るだけだ。

私は会話する気も仲良くなる気もない。だから右から左へと聞き流す。

それでも他の生徒達には仲良く見えるらしく、女子生徒からは目の敵にされている。

理紗が言うには「会長の女」と噂されているらしい。

当たってはいないが、遠からず。最初から分かっていたことだ。


私と会長の事情など他者には関係無い。

見える結果が答えなのだ。

例え本人が違うと言っても、大多数が付き合っていると言えば、何も知らないものほど騙される。

勝手に勘違いして、白を黒だという馬鹿。

でもそういう人の方が多い。

何も知らないものほど罪深いものは無い。

身勝手に噂話だけを大袈裟に振り撒いて、立場が悪くなれば知らなかったと泣きつく。

そいつらはそれでいいだろう。

でも、一度立ってしまった噂話というのは、取り消すのは難しい。結局被害を被るのは何も悪く無い本人なのだ。



今は天里君から逃げてトイレの個室の中。

……あれ?

どうして私が逃げなくちゃ行けないのよ。

チャイムがなったら学校から抜け出そうかな?


カチャリと鍵を開けて個室を出る。


すると、手洗い場の鏡を占領している三人組。

がっつりと加工された顔に傷んだカラフルな髪。

印象といえば頭の悪そうなギャル。

……ギャルに失礼かもしれないけれど。


それにしたって、もう少し控えめにメイクすれば、もう少し見れる顔になると思うのだけど。

ゴテゴテ化粧して、台無しにしてる気がする。


私に気がついた三人は嫌味な笑みを浮かべて私を取り囲んだ。

…………面倒臭い。



「アンタ、チョーシ乗ってんじゃないの!?」

「………別に。…貴女達こそ、本鈴が鳴る前に戻ったら?」



貴女達、絶対に頭悪いでしょう?とは言わないけど。

確実に理紗よりは馬鹿ね。



「アンタ、鏡見てみなよ?ブサイク過ぎて泣いちゃうかもねぇ〜?」

「その態度がムカつくのよ!!」



ケラケラと彼女達が笑う。

……この人達は私の言葉を聞いていたのだろうか。

教室戻れって、言ったんだけど。

それにね、私はけして不細工じゃないわ?

自意識過剰とかじゃなくて事実よ。貴女達よりは整った顔立ちだと思うし、なんなら鏡に今も映っているもの。

私が気に入らないなら話し掛けなければいいのに。


………ああ、ほら。

チャイムが鳴った。


未だにぎゃあぎゃあと騒ぐ彼女達を見ながら息を吐く。



「退いてくれるかしら?」

「はぁっ!?アンタ私達の話聞いてるの!?」



人の話は聞かないのだから、私が貴女達の話を聞かなくても問題無いでしょう。



「聞いてないわよ?…それよりチャイムが鳴ったから通してくれる?」

「はあ?勝手に通ればー?」



馬鹿にしているの丸出しでケラケラと笑いながら、彼女達は入り口の前に立ちはだかる。



「…なら、そうするわ」



ごめんね?

私こういう嫌がらせの類慣れてるの。

ふわりと彼女達に微笑みかけて、無理矢理間を通る。

彼女達のリーダー格の女子生徒が腕を掴んできた。

予想はしていたので、きっちり掴んでいる手首の関節を傷める程度に気をつけながら捻り上げる。

手加減はしたけれど。



「……ッ!?…イッ!!」



涙目でぎろりと睨まれたけれど、無視して女子トイレを後にする。

睨んできてたけど仕掛てきたの彼女達なんだけど……。

退いてとは、一度言ったのにね。

人の忠告は聞いた方がいいわよ?



色々と面倒臭くなった私は、さっさと学校を抜け出した。

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