第10話

「僕も混ざりたいなー」



突撃したところで無視されるのは分かっているけど。

今は電話してるみたいだし、声掛けるのも迷惑だよな〜。



「…電話の相手誰かな?」



礼奈ちゃんの事を僕らは何も知らない。

礼奈ちゃんが俺達を知らないように。


むぅっと頬を膨らませて礼奈ちゃんを見つめる。

当たり前のように彼女は気づかない。


分かってる。

まだ出会って二日目の僕達の事を警戒していることも、仲良くなる気など無いことだって。

自己紹介の名前だけを告げた彼女の意図が分からないわけではない。

仲良くはするつもりは無いと。

明確に一線引いて、冷静に物事を物事を吟味ぎんみして。


多分、生徒会役員になる事を了承したのだって、授業免除の特典があるから。

メリットが合ったから面倒臭い副会長という役職に付いてくれたのだろう。


視界に映る礼奈ちゃんは柔らかく微笑みながら誰かと談笑している。

その視線を向ける相手が、僕達になったらいいのにと思ってしまう。

今すぐには難しいって事も分かっているけれど、同じ生徒会役員になったのだから仲良くなりたいと思うのは普通でしょ?

例え礼奈ちゃんが望んでいなくても。

沢山話しかけて仲良くなろう♪


覚悟してね?礼奈ちゃん♪


外にいる礼奈ちゃんの髪が風に踊る。


………あれ?

…どっかで……見たことあるような……?




僕の頭の中に浮かんだ疑問が解けるのは、もう少し先の話。











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