第7話
最初に声を掛けてきたのもこの人だった。
「次は僕ね!!」
私と綾崎先輩の間に割り込むように、可愛らしい女の子みたいな男子生徒が言う。
「僕は
にこにこにこにこ。
満面の笑みを浮かべて私の手を取りブンブンと上下に振る。
握手と言うには元気過ぎる、ソレ。
ハニーピンクのふわふわの髪の毛とクリクリの大きな瞳。
女性と言われても頷けるほどの美少年、なのだけど。
「……理紗、こんな子クラスにいた?」
見た覚えが無いのだけど。
こんなにも目立つのに……。
こてりと首を傾げれば、理紗が溜息をついて頭を抱えた。
…変なこと言ったかしら?
「ちゃんと居たよ。…礼奈、席隣だったでしょ?」
…それは……、気が付かなかったわね。
この学校、髪色自由で高確率で髪の毛染めてる生徒いるからカラフルで分からなかったわ。
目が疲れるのよね。
「あら、ごめんなさい」
悲しそうにふるふると小刻みに震えている、天里君に一応謝っておく。
先に伝えておくけれど、私はこれが通常運転よ?
これくらい受け流せなきゃこれからが大変よ。
「…で、他の方のお名前は?」
「うぇ!?僕のことは放置なの!?」
…え?
他にも何かありましたっけ?
別に天里君が同じクラスだろうが、他学年だろうが、興味ありませんよ。
「ああ、そうだね。俺は
柔和に微笑する茶髪の大人しめな真面目そうな先輩。
髪の毛は落ち着いた茶色に染められてはいるけれど、紫やピンクよりは目立たない。
…笑顔が怖いけど。
だって、瞳の奥が笑ってなさ過ぎだよ、この人。
怖いわ〜。
「俺は一ノ
宮元先輩の横から無愛想な金髪の先輩が言う。
やる気無さそうに一瞬だけ私を視界に収めて、すぐに視線を逸らす。
見るからに不良。
金色の髪は短く切り揃えられ、耳にはピアスが両耳で計7つ。
右に3つに左に4つ。首からはチェーンのネックレス。
「
最後に黒髪先輩。
整った容姿にスラっと高い身長。
非の打ち所のない絵に描いたような完璧な男。
「
よろしくするつもりは無いから言わない。
「
にこにこにこにこ。
楽しそうね、理紗?
他人事だと思って……。
「帰りましょう、理紗」
「はぁい♪」
「……また、明日」
ぺこりと頭を下げて昇降口へと歩き出す。
理紗は楽しそうにひらひらと手を振ってから私の隣に立つ。
学校を出るまで、もう誰にも会うことは無かった。
翌日。
学校に行けば、非常に残念な事に生徒会副会長に任命されていた。
因みに他の生徒会メンバーは、昨日会った色物集団のメンバー達だ。非常に残念である。
教室へ行けば天里君が既に登校していて、私に気がついて元気良く手を振ってくる。
それを無視して自分の席に座るけれど。
昨日理紗が言っていたように私の席は天里君の隣。
………席替えしないかな?
無視を続けているというのに、にこにこと話し掛けてくる天里君。
…女子生徒の視線が痛い。
正直これだけで帰りたくなるよね?
「…礼奈、無視し過ぎ!」
バシッと遠慮無く頭を叩かれる。
どうやら理紗が登校して来たらしい。
地味に頭が痛いからやめてほしい。
「おはよう、理紗。……痛いわ?」
「おはよん♪無視したら結っちが可哀想でしょ?」
いや、叩かれた私の方が可哀想でしょう。
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