第7話
どう返答すればいいのかと呆然とする都古の隣で、
「相変わらず
あくまでも傍観者として楽しむ気満々の風香が苦笑した。
「そりゃあそうですよ。片想いの期間が長かったんですから。ね? ミヤ」
伊吹は、都古の机に乗せられていた彼女の左手を包み込むようにしてそっと取り、嬉しそうに微笑む。
「僕はミヤさえいてくれれば、それだけで十分幸せだから」
例え話でも何でもなく、それが彼にとって真実であるということは都古も気付いてはいるので、
「お友達も、必要だと思うわよ?」
自分が高校を卒業した後、伊吹がたった一人ぼっちで残りの学生生活を送る様子を想像してしまい、慌てて
「友達は依央一人だけで十分だよ」
なんでもなさそうにケロリと答えた伊吹は強がっているようには見えず、
「会いたい時に会えないじゃない」
「暑苦しいから、それくらいで丁度いいよ」
これから先、本当に一人ぼっちで過ごすことになるのでは……と、都古を不安にさせる。
「大切な人が増えることはいいことだと思うけどなぁ」
伊吹に握られた手の指先で、彼の指をそっと優しく撫でていると、
「……確かに、ミヤを見てるといいなとは思うかも」
伊吹が不意に風香を見た。
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