友達

第5話

県内唯一の中高一貫校の高等部三年一組の教室で、



「ミヤちゃん! この一年間もよろしくね!」



色素の薄いふわふわのセミロングヘアが可愛らしい、うさぎ系美少女・みなみ 風香ふうかがそう声をかけてきて、



「ふーちゃん、おはよー! こちらこそ、よろしくね!」



腰まで伸ばした艶やかな黒髪に、宝石のようにキラキラときらめくあおい瞳を携えた美少女・市川いちかわ 都古みやこが笑顔で応えた。



新学期初日の今日は、席が名簿の順で並べられているため、都古と風香は離れた席になっているのだが、風香はそんなことはお構いなしに、都古の隣の誰だか分からない席に勝手に腰を下ろす。



そして都古の席の前には、



「いいなぁ、南先輩は。ミヤと同じクラスになれて羨ましいです」



不満そうにむくれている少年・朝倉あさくら 伊吹いぶきが立っていた。



白色に近いサラサラの金髪に青みがかった緑色の瞳を持つ彼は、スウェーデン人の母を持つハーフらしく、その整いすぎた顔立ちはこの教室内ではかなり目立つ。



彼が目立っている理由は容姿の美しさだけでなく、他の男子生徒が着用している制服がブレザーなのに対し、彼が着ているのは学ランだから。



それは中等部の制服であり、彼が中等部の生徒である証。



中等部の教室と高等部の教室は隣同士の校舎で分けられているので、本来ならば高等部の教室に中等部の生徒が紛れ込んでいること自体が珍しい。

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