第4話

「愛されてるなぁ、私」



彼女は相変わらずニコニコと微笑んでいて、



「愛してるもん、ミヤのこと」



ぼそりと素っ気なく答えた彼を、



「私もイブくんのこと、愛してるわよ」



「……っ!」



瞬時に激しく照れさせた。



「イブくんって、自分が言う時は照れないのに、私が言うと物凄く照れるわよね? そこが可愛くて好きなんだけど」



「ミヤ、お願い。もうやめて……」



真っ赤に染まった顔を両手で隠した彼の肩から、スクールバッグの取っ手がずり落ちる。



それを直そうともせずに顔を隠し続ける彼の姿と、それをニコニコと微笑みながら見つめる彼女の姿を遠巻きに見ていたのは彼女の親友で、



「朝から微笑ましいですなぁ」



誰に言うでもなく、独りちた。



今日から新学年が始まるわけだが、きっとまた騒々しい日々の始まりでもあるのだろう――

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