第3話

本当に大切だと思える人との未来を思い描くことが出来るようになった今、堂々と彼の隣を歩ける立派な大人の女性になりたいと思っているからこそ、彼が大人になるまで待つ期間を、自分でしっかりと生きていきたいのだ。



「警察官とか、憧れるかも」



独り言のつもりでぽつりと呟いたその言葉は、彼の耳にもしっかりと届いていて、



「……ミヤって、警察官とか消防士とか、そういう職業の人が好きなの?」



彼女の元カレの存在を思い出した彼がムッとする。



その質問の意味を瞬時に理解した彼女は、



「あっ、違う違う! 私が警察官になりたいかもって話」



慌てて首を横に振った。



昔から喧嘩が強くて、でもいじめっ子から守ってもらった記憶が今もまだしっかりとある彼は、



「確かにミヤは、強くて優しくて正義感が強くて……僕にとってはヒーローみたいな存在だったけど」



宝石のようにキラキラと強いきらめきを放つ彼女のあおい瞳を真っ直ぐに見据える。



「今度は、僕がミヤを守りたいんだ。だから、なるべく危ないことはして欲しくないんだけど……」



「イブくんが守ってくれるんなら、安心して危ないこと出来るわね?」



ニヤリといたずらっ子のような笑みを浮かべる彼女を見て、



「もう! 心配で何も手に付かなくなったらミヤのせいだからね!」



彼は更に不満そうにムッと唇を尖らせた。

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