第66話
恥ずかしいのを堪えて伝えた都古に対しての、俊の反応はというと――
「えっ、いいの? 」
てっきり断られると思っていたのに、すぐに都古の隣に座り直してきて。
「でも俺、そういうことしたことないから、加減とか分からなくて……不快に思ったら、すぐに教えてね?」
「え……あの……?」
覚悟はしていたが、まさか訴えた直後にするとは思っていなかった都古は激しく戸惑ったが、
「……ん……!」
俊の力強い腕に抱き寄せられ、そのまま唇が重なり合った。
俊とそうなりたいと願っていた都古は、当然それを不快になんて思わなかったが、
(え……俊さん、ムードとか気にしないタイプ!?)
涙を堪えて訴えていた彼女にいきなりキスするなんて、ただただ驚きでしかない。
――もちろん、俊のことが大好きなので、その行為自体は嬉しいのだけれど。
互いの唇が離れ、都古が緊張による全身の強ばりを解いた瞬間、
「都古ちゃんの唇、柔らかくて気持ちいい」
俊が、また都古を強く抱き締めながら二度目のキス。
俊の中で何かのスイッチが入ってしまったのか、
「んんっ……!」
彼の舌が都古の口内に侵入してくると同時に、その大きな手が、都古の胸を服の上からそっと掴んだ。
加減が分からないとは聞いていたけれど、
「やっ! 俊さん、待って!」
実はまだキスまでの経験しかなかった都古にとって、いきなりこれ以上の関係を持つのは、いくら俊が相手でも怖い。
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