「……」

都古を見下ろすその青みがかった緑色の瞳はとても優しげなのに、

「言ったでしょう？僕は都古先輩のこと、絶対に諦めないって」

強い意志なのか、それともただの狂気なのか。

どちらなのかはよく分からないが、揺るぎない何かが宿っていることだけは分かった。

けれど、不思議とそれを怖いとは思えなくて、ただ黙って彼の瞳をじっと見上げていると、

「ところで、どうです？僕、随分と背が伸びたでしょう？」

伊吹が、自信ありげにニヤリと微笑んだ。

「えっ？あ、うん……そうね、急に伸びたわね」

突然何の話かと思いつつ、都古がこくこくと頷くと、

「都古先輩の恋人に選ばれる条件、一つクリアです」

伊吹は、それはそれはとても嬉しそうににっこりと甘く微笑む。

「……は？」

「先輩が相手に求める条件の一つは、『都古先輩よりも身長が高いこと』でしょう？」

「え？まぁ、うん。そう、ね……？」

都古の中の理想の男性像には、確かにそんな基準はあるにはある。

……が、

「朝倉くんが仮に私好みの男の子になったとして、でも私には俊さんがいるのよ？」

「僕がシュンサンよりイイ男になればいいだけの話ですよね？」

超がつくほどのポジティブシンキングマンには、やはり都合良く捉えられているらしい。

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