第54話
都古のスマホを向かい側から堂々と覗き込んで、
「愛されてるねぇ、ミヤちゃん」
風香はニヤニヤを色濃くする。
「ていうか、今までのミヤちゃんって面と向かって告白されても顔色一つ変えなかったのに、なんで朝倉くんの時はそんななの?」
自分でもなんとなく自覚していたことを指摘されて、
「えっ、そ、そんなって?」
都古の顔が更に赤く色付く。
「ほら、その顔。真っ赤よ?」
「!」
熱くなった頬に慌てて両手を当ててみるも、一度灯った熱は簡単には引いてくれなくて。
「俊さんじゃなくて、朝倉くんにすればいーのに。絶対、寂しいって感じてる暇なんて与えないはずよ」
俯き気味の都古の額を、風香が右手の人差し指でぐいーっと押して顔を上げさせた。
視線のぶつかった先に見える都古の瞳は、恥ずかしさからか涙で潤んでいるように見える。
「……俊さんに感じる寂しさを、朝倉くんで埋めようとするなんて、そんな卑怯なことしたくないわ」
都古のことを本気で大切に想ってくれている彼の気持ちを、利用することなんて出来はしない。
風香のことをほとんど睨むようにして見据えると、
「そうじゃなくて。好きになる相手、朝倉くんじゃダメなの? って話よ」
目の前の彼女は、とても不思議そうに小首を傾げた。
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