第24話

右京が、普段は切れ長の目を、今は驚きで真ん丸にしながら、



「……都古の、どこが?」



恐る恐る親友の目を覗き込む。



「中身もそうだけど、特に顔が」



俊は当然のようにさらりと答えた。



「……俺も、都古とは顔がそっくりだとよく言われるけど」



「あ、うん。いっちーの顔も、女だったらすげータイプ」



それを聞いた直後、右京はソファーから静かに腰を浮かし、出来る限り端の方に寄って座り直してから、



「ちょっと……今後一切、俺たち兄妹に近付かないでもらっていいですか」



まるで虫ケラでも見るような冷たい眼差しで俊を睨む。



「えぇっ!? なんでそんな冷たいこと言うんだよー!?」



俊は慌てて右隣の右京の左肩を掴み、



「身の危険を感じたから」



右京がその手をパシンとはたいた。



「襲わねぇよ、男なんか!」



俊は叩かれた手の甲を反対の手で軽くさすりながら、右京をキッと睨みつける。



「都古のことは襲うつもりなんだな?」



「襲わねぇよ! なんでそうなるんだよ!」



都古とそうなるつもりは本当に全くないらしく、俊は露骨に顔をしかめた。



と、そこへ、



「なになに? 私がどうかしたの?」



俊が自分のことを話題に出してくれているのかと、わくわくキラキラした瞳をした都古が、トレーに三人分のマグカップを乗せてソファーに戻ってきた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る