第23話

俊は一瞬だけ驚いたように目を見開いてから、



「や、だってさ……恋愛対象として見られないってだけで、都古ちゃん自身のことはすげー好きだし。俺もあんな可愛い妹欲しかったなって」



あわあわと両手を振りながら弁明。



その間に、場の空気を読んだ父親がそっと席を立って、部屋を出ていった。



それを右京が横目で見送りながら、



「中途半端に優しくして、都古の気持ちはどうなるんだよ」



親友を鋭く睨み続ける。



当の都古は、二人の会話の内容など全く聞こえておらず、キッチンで鼻歌交じりに三人分のお茶の用意をしていた。



そんな姿をちらりと横目で確認しつつ、



「それなんだけど、多分……都古ちゃんは勘違いしてると思う」



俊は言いにくそうに切り出した。



「何を?」



「俺がいっちーの友達だから。もし俺がいっちーと仲良くなかったら、都古ちゃんも俺に懐いたりしなかったと思う」



「それは流石に……」



「ない話ではないよ。結局、あの子の中でカッコイイと思えるのはお前だけなんだよ。そんなんであの子と付き合ったとして、後で気付いて振られるだけなんて、俺、可哀想すぎるじゃん」



「……うん?」



俊の言葉に引っかかりを感じた右京が不思議そうに首をひねり、



「ん?」



俊もまた、不思議そうに小首を傾げる。



「……都古のこと、恋愛対象として見てないんだよな?」



「いっちーの妹だからね。でも、もしそうじゃなかったら、すっげー俺好みだよ」

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