第23話
俊は一瞬だけ驚いたように目を見開いてから、
「や、だってさ……恋愛対象として見られないってだけで、都古ちゃん自身のことはすげー好きだし。俺もあんな可愛い妹欲しかったなって」
あわあわと両手を振りながら弁明。
その間に、場の空気を読んだ父親がそっと席を立って、部屋を出ていった。
それを右京が横目で見送りながら、
「中途半端に優しくして、都古の気持ちはどうなるんだよ」
親友を鋭く睨み続ける。
当の都古は、二人の会話の内容など全く聞こえておらず、キッチンで鼻歌交じりに三人分のお茶の用意をしていた。
そんな姿をちらりと横目で確認しつつ、
「それなんだけど、多分……都古ちゃんは勘違いしてると思う」
俊は言いにくそうに切り出した。
「何を?」
「俺がいっちーの友達だから。もし俺がいっちーと仲良くなかったら、都古ちゃんも俺に懐いたりしなかったと思う」
「それは流石に……」
「ない話ではないよ。結局、あの子の中でカッコイイと思えるのはお前だけなんだよ。そんなんであの子と付き合ったとして、後で気付いて振られるだけなんて、俺、可哀想すぎるじゃん」
「……うん?」
俊の言葉に引っかかりを感じた右京が不思議そうに首を
「ん?」
俊もまた、不思議そうに小首を傾げる。
「……都古のこと、恋愛対象として見てないんだよな?」
「いっちーの妹だからね。でも、もしそうじゃなかったら、すっげー俺好みだよ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます