第22話

「いやぁ。せっかくの親子水入らずなところにお邪魔させてもらってすみません」



突然そんな声が聞こえ、



「あっ、俊さん!」



「げっ。もう来たのか」



都古が嬉しそうにパァッと明るい笑顔を浮かべ、右京は嫌そうにしかめた顔をリビングの入口へと向ける。



二人の視線の先には私服姿の俊が立っていて、



「お前、慣れ親しんだ家だからって勝手に入ってくるなよ」



「いやいや。いっちーの美人ママが入れてくれたんだし」



右京とそんなやり取りをしながら、



「というわけで、お邪魔してまーす」



当たり前のように、ソファーに座っている右京の隣にストンと腰を下ろした。



都古はそんな彼の様子を見て、朝食の残りを慌てて口に押し込んで、ぬるくなったミルクティーで流し込み、



「俊さん! いらっしゃい!」



慌てて兄と俊の間に割り込むようにしてソファーに座る。



そんな都古に、



「都古ちゃんが食べたいって言ってたシュークリーム、買ってきたよ」



俊が、彼女の頭をよしよしと撫でながら、手にしていたケーキ箱を差し出した。



「えっ! あのお店、行列出来てたでしょ!?」



「うん。開店前から並んできたよ」



「嬉しい! ありがとう! あ、今お茶淹れるわね!」



ケーキ箱を受け取った都古が立ち上がってキッチンの方へとパタパタと駆けていって、



「……そういう態度取るから、都古がなかなか吹っ切れないんだろ」



幸せそうな妹の背中を見送った右京が、隣の親友を睨んだ。

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