第18話
そんな都古を見て、右京は意地悪げに唇の端を持ち上げる。
「“俊さん”って……ったく、あんな暑苦しい奴のどこがいいんだか」
そんな右京の言葉に、トーストをサクサクとちぎっていた都古が手を止めて慌てて振り返った。
リビングのソファーに腰を下ろした右京は、相変わらず意地悪げな笑みを浮かべてこちらを見ていて、
「え、な……なんで!? 俊さんから何か聞いたの!?」
何故、都古の気持ちを知っているのかが不思議で、大きく見開いた目で兄を凝視する。
「いや、
「そ、そんな……」
兄と俊との話題に自分が上がっていなかったこともショックだが、自分がそんなにも分かりやすい態度を取っていたのだと今更ながらに気付いたこともショックだった。
「え? ということは、もう
驚きで丸くなった兄の目は、都古のそれとは違って黒々としている。
本当は都古とよく似た澄んだ蒼色の瞳なのに、本人はそれがコンプレックスらしく、黒色のカラコンで隠しているから。
本当の色が隠されているにも
「もうっ……ほっといてよ!」
現在の都古に彼氏がいないことから状況を推測した右京の感情が、驚きから怒りへと変わっていくのが見て取れる。
「あの野郎……相原の分際で、俺の可愛い妹を振りやがったのか」
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