第14話

「ふーちゃん、何か冷たくない?」



都古はじとっと風香を睨んだが、



「冷たいのは朝倉くんに対するミヤちゃんの態度だと思うけどね」



「だって、あの子、私の拒絶を全部プラスの方向にとらえるんだもの」



何故だか都古の方が悪者扱いをされて、思わずぷくっと頬を膨らませた。



その表情を、周りにいた他の男子生徒たちが頬を染めながらチラチラと見てくる。



その視線に、見られている本人ではなく風香が瞬時に気付いたが、



「まぁ、普段のミヤちゃんのキャラから察して、ツンデレくらいにしか思ってないんだろうね」



見られることが当たり前な都古にそれを指摘しても仕方がないと判断して、話を続ける。



「なんでこんなことになっちゃったんだろ……」



都古が机に頬杖をついて溜息をつき、



「ミヤちゃんがこの学校にいるって知ってて入学してきたんでしょ? 彼」



ずっと立ちっぱなしで足がだるくなってきた風香が、都古の隣の席に勝手に座った。



この席の主は、他所よそのクラスにでも遊びに行っているのか、荷物は机の横にかかっているものの、まだ戻ってきていない。



……風香に気を遣って席を外しているだけかもしれないが。



「よく知らないけど、気付いたらいたって感じ」



年下男子に全く興味のない都古は、わざわざ伊吹が声をかけに来るまで、その存在にすら気が付かなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る