第82話
「あ、そ、そうなのね……」
相原が着席し、担当の女性美容師が足元のペダルを踏んで高さを調整しているのを見ながら、恵愛は変な汗が背中を伝うのを感じた。
お友達紹介制度は恵愛も初めて来た時に説明してもらったので知ってはいるが(紹介した方も次回は500円引き)、恵愛がドン引いているのはそこではない。
(えっ? 好きな女の子の通ってる美容院を聞いて、実際に通うとか……ストーカーじゃない!? ホラーじゃない!? 美紅ちゃん大丈夫なの!?)
恵愛も大好きなあの子のことが心配にはなったが、よく考えれば彼女には右京という最強の護衛がついているので、まぁ大丈夫だろう、という判断に至る。
「俺も、松野さんみたいなキラッキラのイケメンになりたいっす!」
バックヤードから恵愛のカプチーノをトレーに乗せて戻ってきた武巳の存在に気が付いた相原が、彼にそんな声をかけた。
「あはは、ありがとう。でも、相原くんだってもう十分爽やかイケメンだよ」
恵愛の前にカプチーノのカップを静かに置いた武巳は、ふわりとした爽やかな笑顔を相原へと向ける。
「……?」
恵愛は目の前に置かれたカップに違和感を感じ、ちらりと他の客の方を見た。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます