第80話
「あっ! たけみん、また通りすがりの女の子引っ掛けてきて! うちはホストクラブじゃ――」
恵愛の存在にすぐに気が付いた店長が武巳を睨みつけ、
(“また”……?)
武巳がいつもナンパしているかのようなその言い方に、恵愛はモヤッとした気分を抱え、
「店長、人聞きの悪い言い方しないでくださいよ。あと、この子は今日俺がカットモデルを依頼してた川上さんです」
武巳は苦笑しながら店長へと恵愛を紹介した。
紹介とは言っても、恵愛もこの店には普通の客として来たことはあるし、ブラウスのボタンが弾けた時にもお世話になったことがあるので、
「川上さん!? 私服だと何か雰囲気違うね!」
店長とも、一応は顔見知り。
「いやー。ごめん、ごめん。てっきり、たけみんが店の前で引っ掛けてきた子だとばかり」
アッシュグレーのセミロングの頭をぽりぽりと気まずそうに掻いた店長は、両手を合わせて武巳へと謝罪。
「店長、誤解招く言い方しないでくださいよ! 俺、そんなことしたことないでしょ!」
恵愛を待ち合いのソファーに座らせて、その手にドリンクのメニュー表を手渡した武巳が、ムッとした表情で店長を睨む。
恵愛の前での武巳は、チャラそうな見た目はともかく、中身は真面目で美紅一筋の印象が強いから、客引きなんてしなさそうなイメージがある。
けれど……
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