第74話

中途半端に身に付けたままの制服を全て脱ぎ捨て、洗濯機の中へと放り込む。



スカートはシワだらけにされただけでなく、体液で意図的に汚されていた。



たっぷりの洗剤を投入してスイッチを押すと、自分は逃げ込むようにして浴室へ。



熱めのシャワーを、継父に撫でられた頭から被るようにして浴び、



「うぅ……うわーんっ」



ご近所さんに聞こえるかもしれないということもいとわずに、思い切り声を上げて泣いた。



こんな時、頭の中に思い浮かんでくるのは、



――好きで好きで仕方がなかったはずの右京、ではなく……



(お願い、助けて……たけみん)



今朝、恵愛の作った朝食を嬉しそうに頬張っていた武巳の笑顔。



いつの間にか恵愛にとって、武巳の存在だけが唯一、心を正常に保っておけるためのり所になっているのだった――

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る