第69話
ただフライパンで焼いただけの目玉焼きとウインナーと、刻んだだけのレタスを武巳は“美味い美味い”と頬張り、フレンチトーストは目を輝かせてかじり付く。
武巳は甘いものも大丈夫なようで、恵愛とのカフェ巡りに渋々嫌々付き合っていた右京とは全然違うと感じた。
「あー、美味かった。これで午前中の仕事は頑張れる。ごちそうさま」
昨日の夜と同様、満腹のお腹を
「お粗末さまでした」
と返した恵愛は、一旦立ち上がるとキッチンへ行き、そこからビニール袋を持って来て、武巳に差し出す。
「これ、昨日のご飯の残りを握っただけなんだけど、良かったら」
受け取った武巳が袋の中身を確認すると、そこにはアルミホイルに包まれた大きな三角形の何かが二つ入っていた。
「おにぎり?」
「うん。お昼ご飯の足しにでもしてくれたら」
「マジで!? ありがとう、助かる!」
武巳の笑顔に、恵愛はホッと安堵の溜息をついた。
実は昨日、うっかり沢山炊きすぎてしまったご飯をどうしようかと悩んでいたのだが、冷蔵庫内で塩昆布と梅干しを見つけたので、おにぎりを握ることを思い付いた。
……武巳の冷蔵庫に入っていたということは、きっと苦手なものではないはず。
そう思い、朝食を作る前にサッと握り、粗熱を取っておいたのだ。
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