第64話
そして、
「――っ」
冷たいものを一気食いした時特有の、キーンとした頭痛が恵愛を襲い、こめかみを手で押さえて悶絶する。
そんな恵愛を見て、
「ふはっ! ……やべー。川上さんってすげー面白いね」
武巳は恵愛の口を拭いたティッシュを手にしたまま、楽しそうに肩を震わせて笑った。
「ちょ、笑いごとじゃ――」
やっと頭痛が治まってきて、慌てて武巳を睨みつけると、
「そういうところ、俺は可愛いと思うよ。……ふっ、また口の周り真っ白!」
武巳がまたケラケラと笑い出したので、慌てて手で口を押さえて隠す。
「ほら、ティッシュ」
武巳に新しいティッシュを差し出され、
「……ありがと」
恵愛はそれを受け取って自分の口をフキフキ。
優しい眼差しで自分を見つめ続ける武巳に、
「たけみんは、私に何があったのか聞かないのね」
「また、たけみん呼びか」
ふと、ずっと気になっていたことを聞いてみた。
「何かあったのは見てて確実だなって思うけど、そういうのって人に言いたくないことがほとんどだろうからな」
「……」
「話すのが辛いことを無理に話せとは絶対に言わない。でも、助けて欲しくなったらいつでも言えよ。俺に出来ることならしてやるから」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます