第51話
前回のように
気合いを入れて、美容院のガラス戸に手をかける。
――チリンチリンッ……
と鈴の音が鳴って、
「いらっしゃいま――あっ!」
床の掃き掃除をしていた武巳が慌ててそれを中断して出迎えようとして、恵愛の顔を確認した瞬間に動きを止めた。
「松野さん……あの……」
勇気を振り絞ってここまで来てみたものの、何と言えばいいのか分からなくて口ごもる恵愛に、
「俺、上がりまでもう少しかかるんだけど、それまで中で待っとく?」
何かを察した武巳が、にこっと優しく微笑んだ。
「え、あの……お店のご迷惑じゃ」
「
武巳は今度は真顔でバッサリと告げて、待ち合いのテーブル席を指差す。
そこの椅子に、ぺこりと頭を下げながらすとんと座った恵愛を見て、
「ん。いい子」
武巳はまたにこっと微笑んだ。
そんな武巳の腕を、ちらちらと様子を
「ちょっと、たけみん。アンタ、まさか女子高生と……」
「やだなぁ、店長。俺、ガキに手ぇ出すほど女には困ってないですよ」
ニコニコと微笑む武巳に、店長は呆れて腕を離し、
「そうね……私が思ってるよりもアンタってサイテーみたいね」
やれやれと溜息をついた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます