第47話
「バチが当たったんだ。ピーピー泣いてないで、冷めないうちに早く食っちまえ」
恵愛の前にずいっとトーストの皿を押した武巳は、自分の分の残りのトーストを一気に口に押し込む。
「うぅ……
額を両手で押さえながら涙目で睨んでくる恵愛を、
「残念。あれでもすげー手加減してやったんだぞ」
口の中のトーストをコーヒーで流し込んだ武巳はカカカと笑い飛ばした。
「
「はいはい。いいからさっさと食え。学校遅刻するぞ」
女子高生の扱いは美紅で慣れているらしい武巳は恵愛を軽くあしらうと、空の食器を持ってキッチンへと向かう。
「むぅぅ……いつか絶対にギャフンと言わせてやる!」
今まで、周りから悪女と散々言われてきた自分が、たかが見習い美容師なんかにいいように玩具にされようとは。
恵愛は目の前の、ハチミツとマーガリンの塗られたトーストに勢いよくかじり付き、
「……甘くて美味しい」
まだ湯気の立っている、丁寧に砂糖まで入れてしっかりと混ぜられたカフェラテを飲み、
「……あったかくて美味しい」
ついさっきまで燃えたぎらせていた怒りの感情もどこへやら、ホッと息をついた。
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