第42話

(えーっと……?)



大人の男性と二人きりのシチュエーションで、経験したことのない流れになって恵愛は戸惑ったが、



(とりあえず、ベッドで待ってたらいいのかしら?)



布団は肩まで被るのではなく、胸の下辺りまでにしておいて、胸の谷間がより強調されるように体は横向きに。



そうして目を閉じて寝たフリをする。



こんな無防備な寝姿を見せつけられたら、流石の武巳も我慢出来なくなるだろう。



男なんて皆、右京以外は全員似たような生き物なんだから。



そんなことを思いながら、恵愛は武巳がバスルームから出てくるのを待つ。



しばらくしてから武巳が寝室に戻ってきて、恵愛が借りたのと同じシャンプーの香りがふわっと部屋中に広がった。



恵愛の寝ているベッドのすぐ傍に武巳が立った気配がして、恵愛は閉じた瞼にぎゅっと力を込める。



きっと、武巳の大切な美紅に嫌がらせをした罰として、乱暴に抱かれるに違いないと覚悟を決めたが――



「……風邪ひくぞ」



そんな小さな声がぼそりと聞こえたかと思うと、恵愛の被っている布団をぐいっと引っ張り、肩まで被せてくれたのが、感覚で分かった。



(え……?)



恵愛は頭の中では大混乱したが、それでも目を開けるわけにはいかなくて、どうしようかと戸惑っていると、



――パチン……



部屋の電気が消され、すぐ傍の寝袋がゴソゴソと衣擦れの音を立てる。

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