第41話
年頃の男女が一つ屋根の下で過ごすのだし、しかも相手は今夜限りではあるが恵愛に食事と寝床を提供してくれたので、何もお礼をしないわけにいかない。
シャワーを浴びて、武巳が用意してくれた新品のワイシャツに袖を通す。
女物に比べると、この男物のシャツは若干胸元に余裕はあるが、それでもやはり胸囲はパンパンになってしまう。
(……まぁ……松野さんってすんごいイケメンだし、いっか)
これからするであろう行為を想像すると気が重いが、それでも相手が武巳ならいいかと思えた。
サービスのつもりで、胸元のボタンは谷間が見える位置まで外しておく。
そしてそのままバスルームを出て、
「松野さん、あの……シャワーお借りしました」
先程食事をしていた部屋に戻ると、武巳はローテーブルの脚を畳んで壁に立てかけ、空いたそこに寝袋を広げていた。
「お、出たか。俺もシャワー浴びてくるから、先に寝てていいぞ」
武巳は、恵愛の胸元に一切目を奪われることなく、恵愛の目だけを真っ直ぐに見る。
「え、先に寝るって……」
それはどういう意味なのか、恵愛が戸惑っていると、
「あ、寝袋の方は俺が使うから。川上さんは悪いけどベッドで寝て。客人用の布団とかまだ買い揃えてなくて。ごめんな」
武巳はさらりと説明して、自分の着替えを抱えてバスルームへと消えた。
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