第40話
たかがそうめん、と小馬鹿にしていた恵愛だったが、
(最近食べたごはんの中で、一番美味しいかも……)
何故か不思議とそう思えて、勝手に涙が零れてしまう。
恵愛の突然の涙にぎょっと驚いた武巳は、
「わさび入れすぎたのか?」
「……」
こいつマジで美容師か!? と疑いたくなるほど女心に鈍感な発言をしてしまい、恵愛に黙ったまま思い切り睨まれた。
再び黙ったまま食事を再開したが、
「……松野さんの好きな女の子に嫌がらせしてた私を、よく助けようなんて思ったわね」
どうしても気になっていたので、恵愛はまた武巳の方を見る。
武巳は口の中のそうめんを飲み込んでから、
「俺としてはなんて言うか……怪我してる野良猫を保護した、みたいな感覚」
特に深く考えもせず答えた。
「はっ?」
「怪我してる間だけ面倒見るくらいなら、まぁいいかなって」
「……」
そんなにも、今の恵愛は傷付いているように見えたのだろうか。
「明日はちゃんと自分の家に帰れよ」
「はぁい」
明日の夜は、継父は来ないはずなので家には帰れる。
多分、大丈夫だ。
だが、問題は……
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