第34話
資金繰りとはただの言い訳で、恵愛だって本当はもうこんなことはしたくない。
けれど――
継父の、恵愛に対する依存が酷くなってきたから。
最近急に恵愛の家に来ることが増えた継父に嫌気がさした恵愛は、それなら相手くらい自分で選んでやる、とパパ活を再開させたのだが、
(でもこれって、結局は好きな人とじゃないから、お継父さんとするのと変わらないよね)
そんなことに気付いてしまって、でも継父の待つ自宅には帰りたくなくて。
今夜の夕食と寝泊まりする場所を確保するため、恵愛は今日の放課後も街へと繰り出す。
今日は、最近始めたマッチングアプリで知り合った人と初めて会う予定。
恵愛の実物を見て、逃げるなんてことは滅多にないはず。
今までだって、一度も失敗したことはないから。
だから、大丈夫。
そう思っていたのに――
「あれ? 川上さん?」
自分のことを知っている人のいなさそうな駅を待ち合わせ場所に指定したのに、そんな声をかけられた。
恐る恐る後ろを振り向くと、
「川上さんってこの辺に住んでるの?」
美紅の想い人だった美容師・
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