第24話
どうして、こうも上手くいかないのか。
恵愛はただ、右京に心から愛されたいだけなのに。
少し前にサイズアップして買い換えたブラウスの胸元はもうパンパンで、こうしてボタンはすぐに弾けてしまうし。
どうでもいいと思える男たちは、恵愛のこの胸を見てとても喜ぶのに、一番喜んで欲しい相手である右京は見向きもしてくれない。
恵愛の彼氏という建前上、右京は恵愛のことを、態度としてはとても大切にしてくれてはいるけれど……
大切に想う、ということは多分一度もしてくれたことはない。
彼が大切に想っている相手は他にいるのだから。
そして、彼にとって何よりも大切だというあのミサンガは、きっとその相手にまつわるものなのだろう。
彼の機嫌を損ねないように、これからはその相手とミサンガのことにはなるべく触れないようにしなくては。
そんなことを考えながら、室内のどこかに弾け飛んだボタンを探す恵愛は、
「“愛に恵まれる”なんて、嘘ばっかり」
自分の名前に込められた意味を、一人悲しく呪った。
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