第18話
しかし、肝心の右京は、
「……いや、俺は別にそういうのは……」
ソファーの上で腰を浮かして座り直し、恵愛との距離を置く。
「どうして? 男の子って皆、そういうことがしたいんでしょう?」
負けじとすり寄る恵愛に右京は、
「……俺は、結婚する人ととしかしたくない」
恵愛から顔を背けたまま、そんな今時珍しい台詞を告げた。
他の男に言われたら何を古臭いことを、と思ったかもしれないが、相手が右京だと、不思議と誠実さが滲み出て見えて、かえって好感が持ててしまう。
「じゃあさぁ。私と結婚しようよ。そうすれば、今そういうことをしても何も問題はないでしょう?」
これは名案とばかりに提案すれば、
「いや、そういうことじゃなくて……」
いつもは素直に何でも答えてくれる彼にしては歯切れが悪く、それが何だか嫌な予感がする。
右京は膝の上の右手を一度ぎゅっと握ると、意を決したように恵愛を真っ直ぐに見る。
「実は俺、他に好きな人が……」
「……」
なんとなく、気付いてはいたけれど。
こうもはっきりと言われると、どうしても傷付く。
「……その人と、付き合うの?」
もしそうなら、彼のことは諦めなければと思うが、
「いや……俺の完全な片想いだから、付き合える見込みは全くない」
右京は悲しそうに目を伏せた。
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