第17話

家庭環境は最悪な恵愛ではあったが、憧れの右京と正式に付き合えたことにより、以前と比べると精神的な安定は保てていた。



……本命の彼氏が出来たところで、継父との関係やパパ活をする生活は特に変わらないが。



何人かいたセフレとは、右京と付き合い始めたその日に別れのメッセージだけを送って縁を切っていた。



継父とパパ活に関しては、恵愛にとってはアルバイト感覚だったのと、将来のための資金繰りでもあるので今もまだ続けている。



だが、そんな恵愛でも、やはり大好きな右京とは純粋に愛し合いたいという願望はあって。



デートの後、継父が絶対に来ないと分かっている日は右京を自宅に招いたりもしたのだが……



どうしてだか右京は、恵愛に対してキスどころか、手を繋いだりという軽い触れ合いすらしてこない。



ただ恵愛と並んで座り、彼女の話をうんうんと聞くだけ。



デートで出かける場所を決める時も、食事をする店を決めるのも、全て恵愛の希望を聞いてくれるが、右京の希望は今まで一度も聞いたことがない。



もう付き合って三ヶ月が経つというのに、流石にこのままでは寂しすぎると感じた恵愛は、ついに――



「ねぇ、右京くん。してもいいんだよ」



恵愛の方から、右京を誘った。

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