第16話
どうせ誰も助けてはくれないのだから、
恵愛にだって、叶えたい将来の夢はあるから。
男にとって価値があるらしいこの身体を、賢く利用するまでだ。
「ねぇ、お継父さん?」
恵愛をソファーの上に押し倒して覆い被さってくる継父に、恵愛は甘えるような声を出す。
「私ね、お母さんから全然お小遣いをもらえてなくて、お継父さんのために新しい下着も買えないの」
「……」
「セクシーな下着をつけてるところ、見たくない?」
「……分かった。じゃあ、会う度にお小遣いをあげるから、これからも俺だけの恵愛ちゃんでいてくれよな?」
「うん! お継父さん、大好き!」
継父の首に両腕を回して抱きつきながら、恵愛はニヤリとほくそ笑んだ。
一応、もらったお金で後日、新しい下着を購入しておいたが、真の目的はもちろん継父のためなどではない。
少しでもそのお金を貯金して、専門学校へ進学するための資金にするのだ。
高校を卒業しさえすれば、この家を出て親たちの知らない場所で一人暮らしをする計画も立てている。
全ては、自分の将来のため。
いつか必ず、幸せな日々を送れるようになるため――
今を耐え忍ぶのみ。
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