第15話

そして、一人だけ別で暮らしている恵愛の生活費や学費の面倒も、この継父が見てくれているのだが……



当然、“無条件に”というわけでは絶対にない。



継父が母を選んだ本当の理由は、恵愛が目的であったのだ。



この継父は、歳の離れたおじさんが恵愛のような女子高生に相手にされるわけがないと分かっていて、その上でこの母娘の弱みにつけ込むことにした。



恵愛の暮らす家から離れたところに新居を移したのも、表面上は『新婚夫婦の愛の巣』となっているが、本当は恵愛に手を出しているところを母親に見られないようにするため。



恵愛を敵視している母親が、この家に様子を見に来ることもまずない。



多忙で出張が多いとでも言い訳しておけば、恵愛のいるこの家で二人きりで過ごすことも可能だから。



そのことを知らないのは当然、母だけで、



「もしお母さんにチクったら……進学も就職も出来ないようにすることだって出来るからね」



継父は恵愛を脅すことで口止めしようとしてくる。



正直、頭のいい恵愛には、それがただの脅しであって実際にはそんなことが出来るわけがないことなど分かってはいるが。



それに、そんな脅しなんかなくったって、母に助けを求める気なんて恵愛には更々ない。

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