第5話
パパと別れ、自宅へ戻ると――
「よう、恵愛。随分と遅い帰りだな?」
恵愛の母親の現在の交際相手である男が、ダイニングテーブルの上に空の缶ビールをいくつも並べて、煙草をふかしていた。
恵愛の母親は、父親と離婚してからは短期間の間に何度も男をとっかえひっかえしては、自宅へ招き入れている。
この男が離婚後の母にとって何人目の彼氏だったか、もう数えていないので分からないが――
「なぁ。今日もあいつは夜勤でいねぇし、いいだろ?」
あいつ、とは看護師をしている母のことで、
「ちょっ……いや!」
母が夜勤でいない夜は、リビングのソファーか、恵愛の部屋のベッドで無理矢理に犯される。
この男に限らず、母の連れてくる男は皆こうだ。
そして、恵愛が初めてを失ったのは、中学一年生の時に人生初の彼氏が出来たあの日の夜。
彼氏と手を繋いで歩いているところを目撃していたらしい実の父親の手によってだった。
あの夜は、何が起きたのか分からず、ただ泣くことしか出来なくて。
母に相談することも、ましてやその日に付き合い始めたばかりの彼氏に言うことも出来ず、彼氏とはその翌日に理由も言わずに別れた。
それからは、母のいない夜や寝ている隙を狙って、毎晩のように父に犯されて――
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます