右京の憂鬱

秋のイベントが終了すると、右京たち三年生は本格的に大学受験に向けて準備を進める。

遊んでいる場合ではない、と思ったのは受験生本人である右京ではなく美紅の方で、

「美紅切れだ……美紅に会いたい」

放課後、美紅を自宅まで送り届けた右京は（本当はそれすらも彼女に断られたが無理矢理に家までついていった）、真っ直ぐに自宅へと帰宅をし、自室にこもって勉強をしていた。

だが、美紅と別れてまだ一時間と経っていないのに、右京の精神は既に崩れかかっている。

美紅と最後に触れ合ったのは、多分一週間ほど前。

最近では登校から下校までの間でしか会っていないので、キスどころか抱き締めることすら出来ていない。

しかも、受験当日は万全の体調で挑めるようにと、どこかで風邪菌などをもらってしまわないよう休日デートもしばらくは禁止しようと彼女の方から言われ。

本当に、美紅の体を目当てにしているつもりなんて全くないし、ただ傍にいてくれるだけでいいのに、と思っているのは確かなのだが……

一度知ってしまえば、ずっとそこに溺れていたくなるほどに、右京の本能は美紅を欲している。

それでも勉強をしないわけにはいかないので、ただただ机に向かって、イライラをぶつけるかの如くノートにペンを走らせる。

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