第81話

美紅と一緒に果てた右京は、全身が気だるいのも構わずに、彼女に腕枕をしてやりながら、宝物に触れるようにして抱き寄せる。



「美紅……どうだった?」



「……」



「みーく?」



「……」



だが、恥ずかしさでいっぱいの美紅は何も答えられず、彼に対して背中を向けようとして――



「美紅がイイと思ってくれるまで、頑張るしかないか」



――ピリッ……



すぐ傍で、新しい避妊具の個包装を開封する音が聞こえた。



「えっ……」



青ざめて振り返る美紅に、



「“嘘の記録”更新、だな?」



右京は美しすぎる悪魔のような笑みを向ける。



「……さっきも思ったんだけど……“賢者タイム”っていうものは実在しないの?」



美紅にとって、は単なる噂程度でしか知らず、それを確かめようにも右京しか知らないので、比較のしようもなく。



「さぁなぁ。何回かしてたら、そのうちに来るんじゃないか?」



そう言って、無駄にタフで艶っぽすぎる美紅専属の悪魔は、妖艶に微笑む。



「何回か、って……」



「美紅が可愛すぎるから、もしかするとそんなのはないかもしれないけどな?」



「えっ。ちょっと待って! ……んんっ!」



こうして美紅と右京は、無事に“嘘の記録”を塗り替えることに成功したのでした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る