第21話

――そして文化祭当日、一日目。



この日は一年生の出し物を全学年で鑑賞する日なので、美紅たち一年生は大忙しであるが、右京たちは観覧客という立場。



明日になれば立場は逆転し、二年生と三年生が中庭や教室を使って模擬店や展示を開催する。



書道部や華道部など文化部の作品展示は二日間とも開催されて、一年生の出し物の時間以外は随時開放される予定。



高校外部の一般客も文化祭には参加出来るので、この二日間はいつも以上にわいわいと賑わう。



一年生の出し物が終われば、その後の時間は文化部の展示や有志による野外ライブの観覧など自由に過ごせるので、美紅は右京や天野・村田カップルと共に、茶道部主催のお茶会に出席する予定だ。



お抹茶を頂く機会など今までなかった美紅は、今日のそれを楽しみに演劇の練習にも打ち込んできた。



高校に入学して初めての文化祭だからというのもあるが……



今年が唯一、右京と共に過ごせる最初で最後の文化祭だから。



彼に観られても恥ずかしくないよう、全力で練習してきたつもり。



相手役も親友の天野なので、演技の息もピッタリだ。



右京が心配していたヒロインとヒーローのキスシーンも、実は台本の中にしっかりと盛り込まれているのだが――



それはまだ、彼には内緒。

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