第17話
「先輩、ファンサ凄いんですね」
天野は相変わらずニヤニヤと笑っていて、
「誰もするとは言ってない」
俯けていた顔を上げた右京が、天野を鋭く睨んだ。
「えっ。じゃあ、間宮のパンケーキには、やっぱり相原先輩がメープルかけに来るんですか?」
わざとらしく驚いたように手を口元に当てる天野に、
「それは俺がやる」
右京は不機嫌そうに表情を歪めたままで即答。
「えっ。じゃあそうなったら必然的にイケメン店員やらなきゃじゃないですか」
「くっ……アイツら揃いも揃って、俺が断れないように美紅をダシに使いやがったんだ」
クールな彼にしては珍しく、拳を握り締めて悔しそうな表情を見せるので、
「あの……私は右京くんのクラスのカフェには行かない方がいい?」
美紅は少しだけ寂しそうな眼差しを右京へと向けた。
「店員さんとして頑張ってる右京くんを見てみたかったんだけど……迷惑になるなら、行かない」
大切そうに両手で持っていた食券を、静かに机の上に置いた美紅を見て、
「だから、俺は美紅を迷惑だと思ったことなんてないって言ってるだろ」
右京は困ったような表情でふわりと優しく微笑んだ。
そんな右京を横目でちらりと見た天野は、
(あ〜。やっぱり右京先輩って、間宮が絡むと操縦しやすいんだな)
先程、自分と美紅に食券を手渡してくれた女子の先輩の優しそうな笑顔を思い出し、そんなことを思った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます