第15話
「……は? ふざけんな、誰がさせるかよ」
右京が、上に向かって真っ直ぐに上げられた相原の手を乱暴に掴んで下ろさせる。
「美紅の相手は俺がするに決まってるだろ」
独占欲と嫉妬心の塊である右京がそう宣言して、
「おぉっ! じゃあウェイターやってくれるのね!」
女子生徒はここぞとばかりに食らいついて喜んだ。
「えっ!? いや、今のは引き受けるって意味じゃ――」
慌てふためく右京を差し置いて、
「さっすが相原くん! 市川くんを誘導するなんてやるわね!」
女子生徒は相原へウインク。
……右京を誘導というか、本気で美紅の接客をしたくて名乗り出ただけの相原は、
「ま……まぁな! いっちーとは親友だからな。これくらい朝飯前だぜ!」
本当のことが言い出せず、とりあえず話を女子生徒に合わせておいた。
「くそっ、
それを真に受けた右京は本気で悔しそうな顔をして、苛立ちをぶつけるかのように自分の机に乱暴に鞄を置く。
その様子を、やはり必死に宿題をやりつつチラチラと横目で見ていた村田は、
(相原にそんな賢いことが出来るわけないだろうに)
色々と話が噛み合っていない友人二人に哀れみの視線を送ったのだった。
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