嬉し恥ずかし文化祭
第14話
号泣し続けている相原を隣に引き連れたまま、右京が自分のクラスの教室に足を踏み入れると……
「あっ、市川くん来た! ねぇ、昨日言ってたアレなんだけど――」
同じクラスの女子生徒が数名わらわらと右京の周りに集まってきて、
「昨日も言ったけど、断る」
右京は彼女の台詞を最後まで聞くことなく、拒絶の意を示した。
するとリーダー格らしき彼女はムッと頬を膨らませ、偶然近くの席にいた、今日が期限の宿題を必死にやっている
「市川くんが出てくれないと『イケメンカフェ』じゃなくて『モブメンカフェ』になっちゃうじゃない!」
文化祭でこのクラスが運営することになったカフェの名前を力いっぱい叫んだ。
「おい、誰がモブメンだ」
ノートから顔を上げ、その女子生徒を睨んだ村田の声が虚しく響いたが、それを気に留める者は誰一人としていない。
「体育祭の応援団長の座から逃げた身分なんだから、カフェのウェイターくらいやってよね!」
めげない女子生徒は、右京の顔にびしっと指を突きつける。
「愛しのみくたんだって、市川くんがウェイターしてるって知ったら来てくれるかも!」
女子のその言葉に右京が口を開く前に、
「はい! みくたんの接客は俺がする!」
いつの間にか泣き止んでいた相原が慌てて挙手した。
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