第11話

翌朝の通学時間帯。



駅から学校まで歩く道中に、



「……」



心なしかムッとした表情をしているように見える美紅と、



「美紅。今日の放課後は一緒にパフェでも食べに行こうか」



美紅の機嫌をうかがうように接する右京の姿が。



「……」



美紅は答えず、



「美紅」



右京は美紅の指をするりと絡め取るようにして、手を繋ぐ。



拒まれることを覚悟していたが、美紅はそれを拒むことも、逆に握り返すこともしなかった。



けれど右京は、彼女に拒まれなかったことにホッと安堵あんどの息をつく。



表面上は仲良さげに歩いているように見える二人の後ろ姿を、



「え……ケンカ?」



少し離れた距離を歩いていた天野が心配そうに見守っていた。



天野ですらも声をかけ辛いその雰囲気の中、



「おい、コラ、いっちー! 俺様の目の前で見せつけるようにみくたんとイチャついてんじゃねー!」



右京のクラスメイトである相原あいはらが乱入してしまい、



「あ……」



天野は、心の中で相原に向けて“ご愁傷さまです”と両手を合わせたのだった。

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