第7話

「余計なお世話だ、マセガキめ」



右京は吐き捨てるように言うと、



「勉強の邪魔だ」



椅子から立ち上がり、いつものように都古の襟首を掴んで部屋から追い出す。



「やだ! みやこがお兄ちゃんの勉強見張るの!」



都古は両足で必死に踏ん張りながら懸命に抵抗したが、



「見張りなんか要らん!」



右京は無情にもバタンと扉を閉めた。



「ふぅ……」



都古に言われなくったって、今現在の自分が過去最悪に格好悪いことなど分かっている。



美紅との将来を本気で考えているのなら、受験での失敗は絶対に許されないのだから。



だけど……



「美紅……」



男としての本能が、美紅を激しく求めている。



今、美紅に距離を置かれてしまえば多分……次に二人きりになれた時、無理矢理にでも襲ってしまうかもしれない。



そんなことは絶対にしたくないと思っているが、自分を抑えられる自信がない。



「……」



ふと、部屋の壁にかけられているカレンダーに目をやった。



もうすぐ、全国統一模試が行われる予定で。



第一志望の大学への合格率も割り出される大事な試験だ。



右京は机の端に置いていたスマホをおもむろに掴むと、メッセージアプリ内の美紅とのトークルームを開く。



そして、



『今度の模試で第一志望の判定がAだったら、美紅からのご褒美が欲しいんだけど』



そんな一方的なメッセージを送った。

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