第6話

右京は上半身をひねって後ろを振り返り、怪しむような眼差しで、自分の妹を見据える。



「まさかとは思うけど、俺の今回の試験結果を美紅にチクったのって……」



「うん、みやこだよ。美紅ちゃんからもお兄ちゃんのこと叱ってもらおうと思って」



都古は腕を組み、偉そうに兄を見下ろす。



「……」



全く悪びれた様子を見せない妹に、兄は絶句。



「美紅ちゃんは今回も学年トップだったんでしょ? なのに、お兄ちゃんは何やってるの?」



まだ小学生の都古は、高校のテスト結果に順位まで表示されることを知らないはずなのに。



しかも、美紅は自分の成績を人に自慢することなど絶対にしない。



けれど、その都古の台詞は、先日右京が父から説教を食らった時に言われたもので。



きっと、その時の言葉をそのまま引用しているのだろう。



右京と都古の父親である市川 ゆいは、美紅のクラスの担任でもあるので、当然、彼女の成績だって把握している。



美紅は毎日、放課後はこの部屋で右京からのセクハラを沢山受けてクタクタになりながら帰っていくのに。



それでも成績を維持し続けている美紅の努力は、右京には計り知れない。



「美紅ちゃんに捨てられないためにも、もっとしっかりしてよね!」

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