第5話

それでも、美紅に無理に迫ることは絶対にしなかった。



今の状態ではまだ、交わった時に彼女が痛がって泣いてしまうのが目に見えているから。



もちろん、我慢はとっくに限界に達してはいるけれど。



そんな毎日を過ごしていると、当然のように右京の頭の中は美紅のことでいっぱいになる。



正直、勉強どころではないレベル。



美紅と付き合い始めてすぐの頃は、何もかもにやる気が出て、一学期の期末試験だって今までで一番いい結果が出せたのに。



それが今回は……



自分でも、このままではいけないと分かっている。



けれど、美紅と過ごす時間が減るのは嫌だった。



そう思っていたところに、今日美紅から言い渡されたのが、



「右京くんの受験が終わるまで、お家にお邪魔するの控えるね。休みの日のデートも、もう少し減らそっか?」



というもので。



前回の時みたいに、別れを突きつけられたというわけではないけれど。



期間限定とはいえ、美紅の存在が原動力の右京にとって、それは別れ同然の仕打ちに思えた。



「なんでこんなことに……」



先程と同じような意味の台詞を一人で零していると、



「そんなの、お兄ちゃんの成績が悪いからに決まってるじゃん」



「!?」



いつの間に部屋に入ってきたのか、妹の都古みやこが右京のすぐ後ろに立っていた。

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